『よみがえりのレシピ』

2013年05月07日 23:33

人が 野菜で よみがえるお話か、と思っていたけれど、
人が 野菜と人を よみがえらせる、お話。

昔から受け継がれ その地域でしかとれない、野菜の種類。
在来作物。
伝統野菜。
種を絶やしてしまうと、もう、 
その種類の野菜は 過去のものになってしまう。

知らなかった。
傾いた 山の斜面で 作物を育てていること、を。
何らかの理由で傷んでしまった木々を切って、
地面を焼いて 均して、
カブを育てる。
火を放っているから、土は除菌され、農薬を撒く必要がない。
70を越えたおばあちゃんが 慣れた手付きで、
急な斜面に生えるカブを ひとつずつ収穫する。

在来作物は、収穫期間も短く 収穫したあと痛みやすい。
流通には向かない、という点から 需要は減少ぎみ。
昔々から受け継がれてきた種は、
品種改良された、長い期間収穫のできる、傷の付きにくい、かたちの揃った、
今 スーパーで売られているような野菜の品種にとって変えられ、
すでに絶滅してしまったものも ある。

ここ 山形にも、数種類の在来作物が存在していて、
その種を絶やさないように、と頑張っている人々がいる。

子どもの頃から 当たり前のように、
毎年毎年 家の畑に 種を撒く おばあちゃん。

需要も減って、育てる手間もかかるから、と
生産をやめようか続けようか、頭を悩ませる生産者の人々。

そんな生産者たちと 消費者をつなぐ、一人のイタリアンの料理人。
彼の 独創的な発想で、
カブだとか、大根だとか、キュウリだとか 山菜だとか。
それまで、お漬物や煮物のイメージでしかなかった在来野菜が、
高級イタリアンレストランの一皿、に変身する。
炙った宝谷カブに 黒トリュフを軽く炒めたオイルを回しかける。
素材の風味を極力生かした調理法、で 他の食材と調和させる。
それらのお料理をいただいた生産者の人々は、
自分たちが育てた野菜の変わりよう、に 
驚き、喜ぶ。
こんな食べ方が、できるのか。
可能性が 広がる。

生産と消費が繋がれば、作り続ける価値がある。
その輪っかが広がれば広がるほど、
地域の繁栄に 繋がる。

知らなかった、な。
こんなふうに 頑張っている人たちがいるなんて。
行ってみたいな、アル・ケッチァーノ。
その前に、今日は 大根を煮たのを食べたい な。
戦時中は こうやって 米と一緒に 大根を入れて腹を膨らせた、と
囲炉裏の前で 不器用な手付きでブツブツと大根を切って 
静かに 鍋に放り込むおじいちゃんの姿が、
頭から 放れない。


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